新潮社
2011年発行
毎度おなじみ海堂さんの作品。
登場人物はこれまでに散々存在感を示してきた人物から、名前が少し出た程度の人物まで多数再登場してきましたが、始まりはたぶん初めてな人物からだと思います。
今作も全体的には面白い話でした。
話としてはある程度までは纏められているし、おなじみの「続く」状態で終了となっているので、流れ的にはそこまで破綻している印象はありません。
ですが、始まりと終わりの視点となる人物が異なっている上に、その最初に視点になった彼らについて最後に軽く触れられているだけなので、つい「え? 彼らはその後どうしたの?」…と思ってしまいます。
そのため、纏まりがあるようで無いという印象を受けてしまうのが残念でした。
今回の作品はラクダのインフルエンザが一つのキーワードとなってきますが、この一連の動きは実際にあった新型インフルエンザの騒ぎを思い起こさせます。
村雨知事の存在なども、実在の人物を思い起こさせるような感じですし…。
こうも現実にリンクするような内容が多くなると、このシリーズはちゃんと終わるのだろうか?…と思ってしまいます。
それは少し前より感じているのですが、現状を変えるためには社会の仕組みを変えなければいけないといった趣旨の話になっているので、状況がリアルに感じられるほどにそう考えてしまう部分があります。
どんな決着をつけるつもりなのだろう…と。
時間軸から考えると、こちらの作品はアリアドネの対となる作品と考えていいのでしょうか?
はっきりと描写されているわけではないのですが、他の話で出てきたシーンにさりげなく重なってきたりするあたりは、さすがだなと思わされます。
以前の作品でちょっと名前が出てくるだけだった人物が今回のように中心人物として出てくる事もよくあるので、いったいどれだけの伏線を仕込んでいるのだろうかと気になるところ。
ただ、登場人物が多かったり、時間軸が前後していたりとして、頭の中が混乱してきているので、そろそろ収束させてほしいな…と思う部分があったりも…。
せめて、纏め本のようなものが出てきてくれると嬉しいのですが、また出ないかなぁ…。

